物語
2038年4月、「ヒトの遺伝子操作に関する法律」、通称「フジサキ法」が施行される。これにより、遺伝的疾病の回避を目的とした遺伝子操作が可能となる。
2042年1月、「先天的遺伝子異常における医療的遺伝子操作に関する法律」が施行される。これにより、これまで難病とされてきた先天性疾患の治療が可能となる。
翌43年、「フジサキ法」が改正され、遺伝的疾病の回避目的以外でも、生殖細胞系列の遺伝子操作が可能となる――企業が子どもを作る時代の到来である。
時は2068年。国の人口が8000万人を切り、そのうちの半分以上が70歳以上の高齢者という時代。フジサキ法の成立により、企業が作り出した人間である『企業産』と、自然交配によって生まれた『自然交配型』の2種類の人間が入り混じる社会で、企業産人間であるシバは、仮想現実空間と現実社会を行き来するだけの日々を過ごしていた。漠然とした不満を抱えながら生きるシバは、ある時、友人の紹介で夜のアルバイトをすることに。その内容とは、自然交配型である高齢者を『狩る』こと。同じ企業産であるタケと知り合い、老人を狩ることになったシバは、初めこそ、その蛮行に反対していたが、徐々に老人狩りにのめり込んでいく。そして年が明け、いつものように老人狩りを楽しんでいたシバ達は、ある事件をきっかけに、今度は反対に狩られる立場へと追い詰められていく。
※ギャラリーにて使用される画像の著作権は各著作者に帰属します。
登場人物
シバ
SmartGenetics産GMC。期待された能力が発現しなかった企業産落ちこぼれ。SmartGeneticsの水産課試験係を担当している。消極的で悲観的。狩りの時には老人を追い込み捕獲する。親という未知の存在に対する愛憎に苦しむ。
タケ
MaxGene産GMC。パワータイプ。反社会的GMC集団『カミナリ』の構成員。楽観的で自己中心的。狩りの時には自慢の怪力で老人を痛めつける。好きなものは車とカジノ。生産中止となった年代物のレクサスを乗り回す。マサトを弟のように可愛がっている。
マサト
MaxGene産GMC。痛み耐性A判定。反社会的GMC集団『カミナリ』の構成員。衝動的で非社交的。狩りの時にはMixed Realityグラスを使って周囲の見張りを担当する。狩りと食事以外はだいたい仮想現実ゲームをしている。
注)GMCはGenetically Manipulated Childの略
※画像は本作品におけるイメージです。被写体と本作は関係ありません。