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物語
薔薇は、贈る花束の本数で意味が違うって知ってた?
一本は一目ぼれ、二本は二人だけの世界、三本は――何だと思う?
あと三日で年が明けるという年末のある日。禁酒中の秋生の目に、巨大な焼酎の広告が映り込む。それは焼酎のボトルを囲むように団欒する絵に描いたような幸せな家族写真で、それを目にした途端に、秋生は妻の顔が頭から離れなくなる。結婚して、一緒に生活して、子供ができて、子供を育て……。変わっていく妻。変わっていく自分。そして変わっていく夫婦の関係。何がいけなかったのか。何が足りなかったのか。妻との思い出に浸るように買った薔薇とチョコレート。それらをぶら提げて帰宅した秋生を待っていたものは――。何をやっても報われないと思っている人に読んでもらいたい。ほんのりと甘くて苦い夫婦の物語。うだりおの短編小説第三弾は、現代社会を生きる夫婦のあり方を問いかける!
登場人物
秋生
メーカー勤務。40代。趣味はラジコンヘリ。優しく穏やかな性格の持ち主。平日は家事を手伝い、週末は子供と遊ぶ。自称育メンで愛妻家。大の酒好きだが、現在は訳あって禁酒中。
春奈
秋生の妻。30代。長男の出産を機に仕事を辞め専業主婦に。夫の転勤に合わせて新しい環境で生活を始める。育児に奮闘するも、友達はなく、両親も遠い。孤独。育児ストレスを抱える。
※画像は本作品におけるイメージです。被写体と本作は関係ありません。
読者の声
本作に込めた思い
本作は子供が生まれて変わっていく夫婦の関係を描いています。一人の人間を育てていくということは、周囲から沢山の助けを必要とします。同時に、生きていく為には働かなくてはなりません。人を育てるということと働くということ、両方がうまく機能するために夫婦はどうあるべきでしょうか。社会はどうあるべきでしょうか――。そんなことをぼんやりとでも考えてもらえたら幸いです。
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