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物語
優しさって、人を気遣うことでも、人と親しくすることでもない
それは人を信じて待つことだと思う
平凡なサラリーマンである和成は、自己の安らぎを優先させて、他人との関わりを避けて生きてきた。一方で、心の奥底で人を見下し、他人の行動に日々苛立ちを覚えるキャリア志向の葵。二人は出会い、結婚し、やがて子供を授かる。互いを嫌う結婚生活、煩わしい子育て、不満を募らせる二人の前に、ある日、醜い男が現れる。男は言う、「うまくいかないのはこの世に存在していないからだ」と――。
男の真意は何なのか。
男は何者なのか。
現代を生きる誰もが抱える満たされない思い、苛立ちの連鎖、不安や迷い。全てはつながっている。
うだりおの長編小説第二弾は、それらの問いを量子力学の一解釈を応用して解き明かすサイエンスフィクション小説。
登場人物
和成
プログラマー。自己中心的で防衛的。自分からは何もしないが、相手が何かしてきた時に、同じことをやり返す。現状に満足しておらず、常に倦怠感を抱える。物品的な豊かさと自己の安らぎを求めている。
葵
商品営業。キャリア志向。自分を大切に生きている。自分の要望は伝えるが、しばしば相手のそれは聞かない。嫉妬心が強く、他人の成功を素直に喜べない。社会的な成功と自己の幸せが第一優先。
莉緒
和成と葵の娘。5歳。無知で純粋。両親に褒められることに一生懸命。大人がしていることに興味があり、自分だけそれを許されないために、大人はずるいと思っている。従順、素直、非力。よく泣く。
※画像は本作品におけるイメージです。被写体と本作は関係ありません。
本作に込めた思い
誰かを思い、誰かから思われる。誰かを愛し、誰かを毛嫌いし、誰かに苛立ち、誰かに和らぐ。そういう目に見えない様々な思いが、私達の日常生活の中では沢山飛び交っています。でももしそういった思いが、実はもう一人の自分へと伝わっていたとしたらどうでしょう。
もう一人の自分――そうです、これが本作品のキーワードです。
本作では、量子力学の世界で有名な「2重スリットの実験」結果を応用しています。
これまでの人生で選択してきた道とは別の世界、それが今も同時に、そして無数に存在している。そしてそこにはあなたの知らないもう一人のあなたがいる。
急に怖くなったり、やけにイライラしたり、そんな経験はありませんか?
会ったことのない人なのに昔から知っているように感じたり、今言おうとしていた言葉を直前で他の人に言われたり――。
あなたが苛立つ原因は、もしかしたら、『もう一人のあなた』にあるのかも知れません。
まずはあなたに一番近い人をオモヒヤルことからはじめてみませんか?
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