皆さん、こんにちは。 4月に入りました。だいぶ暖かくなってきましたね。いつも通る道の両側に並ぶ桜が満開になっていました。 随分と春らしくなってきましたが、皆さんはいかがお過ごしでしたか?
久しぶりの更新ですね。今日は改版のお知らせです。 昨年末から取り組んできた『ツナガリ』の改版作業ですが、ようやく目途が立ちました。
長編小説『ツナガリ(第2版)』は4月25日(水)に発売予定です。
既に『ツナガリ(初版)』をお持ちの方は、お買い上げいただいた書店アプリからアップデートのお知らせがいくと思いますので、もうしばらくお待ちください。また、ブクログのパブーでお買い上げいただいた方には、個別に対応させていただきますので、ホームページのお問い合わせよりお問い合わせください。詳細は後日、またここでお知らせします。
さて、当初は昨年末に改版を終える予定でしたが、蓋を開けてみれば、大変な作業でした。 稚拙な表現、回りくどい言い回し、比喩でない比喩表現、視点の混同……。修正した個所を挙げれば切りがありませんが、一言で言うと『全面改訂』です。初版の主題・熱量を残したまま、キャラクター設定・プロットを大幅に見直しました。本作は『2018年版ツナガリ』と思ってもらっても構いません。それくらいまっさらに生まれ変わりました。
私が『ツナガリ』のファーストドラフトを書いたのが2008年。当時はスマートフォンもありませんでした(笑)。作中に出てくるものはどれもスライド式か折り畳み式の携帯電話です。今となっては、若者がちょっとした間を埋めるのにスマートフォンを使うのは当たり前にさえ感じますが、当時の私が選んだキャラの行動は雑誌を捲ったり、珈琲を飲んだり……。私はアナログレコードを聴くようで好きですが、スマートフォンの方が自然な個所はスマートフォンの描写に変更しました。本作の主人公は若者ですからね。私も年を取りました。時代の流れを感じます。
また、この10年の間に社会も変わりました。親子の関係であったり、夫婦の関係であったりも変化しました。最近は、ハラスメントや虐待の話題が度々、議論に上がりますね。男性は仕事、女性は家事という考え方も古くなりつつあるように感じます。そして友人関係も変わりました。SNSの登場により、コミュニケーションの大部分がネットに移動しました。したがって、作中で今の時代に合わないキャラ設定や表現はすべて書き直しました。
こんなこと、当時は想像もできませんでした。スマートフォンの登場は、間違いなく、人々の繋がり方を変えたと思います。
その他にも、初版の『ツナガリ』を読んだ読者から寄せられた疑問に回答する形で、追加・削除したシーンが幾つかあります。
昨年の年初に『ツナガリ』の改版を思い立った時には、表現や語句をちょちょっと直すだけだと思っていましたが、読み返せば読み返すほど、ここを直して、あそこを直してと、気付けば、一から新しい長編小説を書いていました。
どなたかが、「過去の作品は直してはいけない」と言っていましたが、本当にその通りだと思います。私も二度とやりたくありません(笑)。
さて、今回『ツナガリ』を書き直してみて、思ったことが一つあります。
それは、時代は変化しているんだなぁ、ということです。 当たり前のことですが、2008年当時の私が抱いていた社会に対する歯がゆさは、現在、テレビやニュースで議論に上がっています。多様性、個人の在り方、そして組織の在り方……。今までは議論にさえならなかったことが議論される。とても良いことだと思います。そうやって少しずつ世論が形成されて、人々の意識が変わって、社会が変化していくんだなと、そしてこのままだと、私が小説を書く理由もなくなってくるのかなぁなんて、そんな風に思いました。
20年後には、そうなっていることを願って……。
良い週末をお過ごしください。