皆さん、こんにちは! ゴールデンウイークが近づいてきましたね。旅行やイベントの準備でバタバタしている人もいるかと思いますが、皆さんはいかがお過ごしですか? 私は来週の渋滞予測を見て、すでに心が折れそうです。
さて、先日お話しした小説『ツナガリ』の第2版ですが、本日、Kindleストア、楽天Kobo電子書籍ストアから発売されました。
本作は、月刊誌の記者である滝川愛が、国際村に取材にやってくるところから始まります。国際村は8棟の住居とカフェから成る集合住宅地です。そこでは、『ツナガリ』という概念を広めるために独自のルールを実践する人々が住んでいます。独自のルール――それは、①意見を言う、②話を聞く、③違いを認める、の三つだけ。しかし実際は、コミュニケーションを取るのが下手な人間の集まりであり、そういう彼らとの取材を通して、愛は自身の抱える問題に向き合っていく、とまぁ、ざっくり言うとそういうお話です。
世の中には、コミュニケーションを取るのが上手な人とそうでない人がいます。仕事をし、生きていく上で、他人とのコミュニケーションを取るのが上手いに越したことはありません。では、そうでない人はどうすればいいのでしょうか。
それを、その人の問題、スキル不足と言うのは簡単です。しかし私は、今私たちが生きている社会にも、私たちのコミュニケーションを難しくしている要因があると思っています。
生まれた時から他人との会話を煩わしく思う人なんていません。皆、親を見て、先生を見て、周りの大人達を見て、ああ、こういう時はこうするんだ、ああいう時はああすればいいんだと学んでいきます。相手によって態度を変えたり、相手に周囲と同じであることを求めたり。自分を抑えたり、相手を無視したり。無知や差異を笑ったり……。
今、学校教育が変わろうとしています。 文部科学省によると、小学校は2020年度から、中学、高校はそれぞれ21年度、22年度から新しい学習指導要領に切り替わります。この新学習指導要領では、これまでの「何を知っているか」に加え、「その知識を使って何ができるか」に教育方針がシフトしています。そしてそれを実現する手段として、アクティブラーニングの考え方が導入されています。
アクティブラーニングとは、教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称(文部科学省用語集より)です。具体的には、グループワーク、グループディスカッションなどを通して生徒たちが主体的に問題を見つけ、自分たちで解決していく力を養っていく、そういう授業の進め方です。私が小学生だった頃には考えられない授業風景です。当時は、自主的に何かをしようとすると注意される、そういう時代でしたね。
先生たちの役割も変わってきています。 何かを教える立場から、生徒たちの様々な意見を上手く取りまとめるファシリテーターに。 会社のマネージャーに求められるスキルも変わってきています。 愛の鞭・叱咤激励からコーチングスキルへ。 そしてそれらは、いずれ、親にも求められるようになるでしょう。
上に立つ人の意識が変わる。生徒たちの視点、部下の視点、そして子供の視点、それを意識するだけで、今の社会が抱えている問題の半分がなくなるような気さえします。
そうやって育った子供たちが、20年後、30年後、どういう社会を築いていくのか――。
彼らの今後に大いに期待したいと思います。
良い週末をお過ごしください。
作品概要と試し読みはこちらからどうぞ。