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執筆者の写真うだりお

特異点(仮)、第11回『狩りのあと』を公開しました!


皆さん、こんにちは。

今朝は空一面に雨雲が広がり、少し肌寒いですね。気象庁によると、関東地方も先週、梅雨入りしました。これからしばらくは雨の日が続きそうです。

さて、皆さんは香港のデモのニュースをもうご覧になりましたか?

朝日新聞DIGITALによると、12日に予定されていた条例案の審議を阻止しようと、11日の夜から数千人の若者が議会周辺の幹線道路に集結、12日には数万人規模になって道路を占拠し、その日の審議を延期に追い込んだようです。これに対し、香港警察はバリケードと催涙弾で応戦。負傷者は80人に達したとのこと。デモを主催した『民間人権陣線』は、明日16日にもデモ行進を行うことを発表していて、参加者は今月9日に行われたデモ行進の時(=103万人)と同じかそれ以上になる可能性があるようです。

そもそも、なぜこのような抗議デモが起こったのか。それは、香港政府が今年2月に提出した「逃亡犯条例改定案」にあります。そしてそのきっかけは、2018年に台湾で起こった殺人事件にあると言われています。2018年、台湾で恋人を殺害した香港人の男が香港に逃げ帰りました。その際、台湾当局はこの男を拘束できずに終わっています。なぜなら香港の現行法では、「犯罪を犯した容疑者が香港に滞在した場合、身柄引き渡しの対象国が20か国に限られている(ハフィントンポスト、高橋史弥)」からです。そしてその中に台湾は含まれていなかった。この事件が問題となり、今年2月、香港政府は身柄引き渡しの対象国拡大のために法改正に乗り出します。ところが、その対象国を拡大するにあたり、そこに「中国本土を含めた」ことが、今回のデモの発端のようです。

香港は、1997年にイギリスから中国に返還された際、「高度な自治が許される特別行政区として、イギリス統治時代の法制度を残すことが認められています(同上ハフィントンポスト記事より抜粋)」。つまり、中国本土の司法制度から切り離された独自の法制度があるわけです。そこには中国本土にはない、権利としての表現の自由も含まれています。ところがもし、この「逃亡犯条例」が改正されてしまうと、「香港にいる全ての人が中国本土の司法制度の対象となり、恣意的な拘束や拷問にさらされかねない(DIAMOND ONLINE, The Wall Street Journal, Natasha Khan)」事態に陥ってしまうわけです。

これは大変です。それまで保障されていた自由や権利が容易に剥奪されてしまう可能性が高まるわけですから。実際、2016年6月には、香港で中国政府に批判的な本を扱う書店の店長など5人が、中国本土で8カ月にわたり拘束されていた事件が起きています(BBCニュースJAPAN)。

彼らは自由のため、自分たちの未来、香港の未来のために戦っています。香港の若者たちの勇気と行動力からは学ぶことが多そうですね。今回の抗議デモを受けて、香港政府が法案の再考をしてくれることを祈っています。

連載小説『特異点(仮)』、第11回『狩りのあと』を更新しました。 https://www.riouda.net/karinoato

今週もどうぞよい週末をお過ごしください。

Photo by Arek Socha

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