皆さん、こんにちは。
今日は節分。季節の変わり目です。
季節の変わり目というのは暖かかったり、寒かったり、どうしても体調を崩しやすいですよね。そうならないように「体に溜まった邪気を払い、無病息災を願う」。もともとは神事的な意味合いの強い行事ですが、昔の人の経験と知恵ほど役に立つものはありません。
ここ最近は本当に悲しいニュースが続いていて、どれも立場の弱い人が苦しい状況に陥るという構造的な問題が見え隠れしています。原因は一つではなく、感情やしきたり、それぞれの立場や利害など様々なものが絡み合って起こってしまった難しい問題だと思いますが、立場が上の人ほど、もっと相手を気遣う優しさがあってもいいのかもしれません。生まれてきた時は誰もが赤ん坊だったことを考えると、立場には本来上も下もなくて、あるのは役割の違いだけだと思いますが、これを機に、社会に溜まった邪気が払われることを願うばかりです。
さて、気持ちを切り替えまして、今日は新しい連載小説『特異点5(仮)』のお知らせです。
本作は特異点シリーズの完結編となる作品です。これまで描いてきた特異点シリーズ1~4の主人公たちが登場し、特異点の世界の謎を解き明かしていきます。
ここで、まだ特異点シリーズを読んだことのない方のために、特異点の世界観を簡単に説明したいと思います。もう読んだよという方は飛ばしてください。
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特異点の世界は、今から50年後の未来が舞台となっています。
国の人口が8000万人を切り、その半分が70歳以上の高齢者、25歳以下の若者にいたっては200万人しかいない社会。そこでは国の税収が低下し、地方行政は機能不全に陥っています。バスや電車は走らず、街にはゴミが溢れ、落書きが残ります。都市部でさえビルは廃墟と化し、売れ残った家屋やアパートは取り壊されることなく残っています。学校は機能せず、教員も足りていません。国内にあった大学は統廃合で数を減らし、学校では将来に役に立つ数学や物理、外国語といった教科のみが教えられていました。
するとどういうことが起こるか。人々は政治を信用できず、国の将来を悲観し始めます。年老いた者は諦め、未来ある若者は国外に移住しました。若者人口がますます減っていったんですね。そうした状況の中、政府はついに禁断の「遺伝子操作」に手を着けます。企業に子どもを作るよう要請したのです。
さて、社会には企業が作った人間である『企業産人間』と自然交配により生まれた『自然出生児』が混在するようになりました。あいつは企業産、あの子は自然出生児――人々は自分と違う人間を敵視し、機能不全に陥った社会を彼ら彼女らのせいにし始めたのです。そうなると当然、人々は自分の身を守るために自分と同じ集団に所属するようになります。貧困層、富裕層。若者、高齢者。そして企業産人間と自然出生児。社会は様々な集団に分断され、それぞれがそれぞれの正義を主張する――これが特異点の世界です。
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ただ、特異点の世界では、時折、妙なことが起こります。
硝子窓がゴム膜のようにへこんだり、目の前にあった林檎がチーズに変わったり。
車が宙に浮いたり、靴が消えたり……。
何かおかしい……。
最初に気付いたのはシリーズ4作目の主人公、サムでした。
そしてシリーズ完結編となる本作では、いよいよ特異点の本質に迫っていきます。
特異点の本質――それは、この世界が果たして本物かどうか、そして本物でないなら、そこは一体なんなのか?
それでは、
どうぞお楽しみください。
Photo by chenspec
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