皆さん、こんにちは。
5月も終わりに近づいて、もうすぐ1年の半分が過ぎようとしていますが、皆さんはいかがお過ごしですか。
『美しい』という言葉を辞書で調べると、
・形、色、声などが快く、好ましい。綺麗である
・潔い、さっぱりして余計なものがない
という意味の他に、
・愛らしい、可愛い、いとしい
という意味があります。元々、『美しい』という言葉には『肉親への愛』が込められていたようです。それが『小さいものへの愛』、そして『小さいものの美への愛』へと変化していき、室町時代には『美』そのものを指すようになったそうです(広辞苑第6版)。
『美しい』という言葉には、それが向けられる対象に対する愛があったんですね。愛は内面から湧き出す感情です。つまり、人が『美しい』と口にする時には、その人の内面に愛が溢れている状態だってことです。
さて、特異点の世界のお話しです。
前回、内なる感情を爆発させたサムは、土中のコンテナから抜け出すことに成功しました。地上に出たことでケンのMRグラスもネットに繋がり、MRグラスで無人タクシーを呼んだ二人は、ケンのマンションに戻ってきました。
そして今回、サムはケンのマンションで目を覚まします。ところが目を覚ましたサムを見て、ケンは震え上がります。サムの額にある目が開いていたからです。目を開いたままで大丈夫なのかと何度も確認するケンですが、サムは目を開けても化け物が出てこないことに驚きを隠せません。というのも、化け物は出てこないばかりか、サムの中から消えていなくなっていたからです。そればかりか、額の目が開いたことで、周りの景色がこれまでと違って見えます。その世界は、「虹の色が七色だとして、それが十色、いや二十色以上の虹に見えるような感じ」とサムは言います。
サムが今まで見えていた世界と、今回、サムが目にした世界。それらは同じ世界ですが、まるで違う世界のようです。では、サムの目に映る世界とは、一体、どんな世界だったのでしょうか。
連載小説『特異点4(仮)』、第31回『美しい世界』を公開しました。
今週もどうぞ良い週末をお過ごしください。
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