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執筆者の写真うだりお

連載小説『特異点5』、第10話『枝先に揺れる』を公開しました

皆さん、こんにちは。


しとしとと雨が降っています。

ざーざーではなく、ぼつぼつでもなく、しとしと。

日本語のオノマトペアには風情があります。


さて今週の更新です。


前回、柴崎が解離性現実障害(DRD)である可能性を示しました。そしてDRDのために超人能力が充分に発揮できていないのではないかと、早見は疑い始めました。


そんな中、萩谷は水産課試験場にてエスウイルスから完全に回復している検体を見つけました。検体をジャーに保存処置したのは柴崎。それも約2カ月も前のことです。調べると、ホルマリン溶液の中にヒト由来のエスウイルス抗体が含まれていることが分かりました。


そこで萩谷は早見に連絡をし、柴崎の血液を水産課試験室まで送るよう依頼しました。柴崎の血にエスウイルス抗体があるに違いないと推察したためです。血液サンプルがあれば血しょうが作れます。そして血しょうがあればエスウイルスに打ち勝つことができます。すべては自宅に隠し持つエスウイルス陽性のマカを助けるため――。


マカはエスジーが生み出した第7世代超人です。人類史上最も神に近づいたとされたマカプロジェクトですが、100体以上あったマカの大部分はエスウイルスに感染し、生まれてくる前に亡くなりました。辛うじて生き残ったマカ2体も、心拍低下により生存は困難とされ、破棄が決定。プロジェクトは中止されました。


ではその破棄されたはずのマカを、どうして萩谷は自室に保管しているのでしょうか?


今回、萩谷が生産棟からマカを盗み出した理由が明らかになります。



今週もどうぞ良い週末をお過ごしください。


Photo by debannja


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