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執筆者の写真うだりお

連載小説『特異点5』、第12話『超常現象』を公開しました

皆さん、こんにちは。


初夏のような陽気が続いていますね。

Tシャツ一枚で出歩けるようになって、いよいよ季節の変化を肌で感じる今日この頃ですが、皆さんは新しい生活リズムにもう慣れましたか。


さて今週の更新です。


前回は、柴崎の根っこの部分、そして早見の心にある根っこの部分について書きました。柴崎は傷が治ってきて早く母親に会いに行きたい、早見は柴崎の気持ちを受け止めながらも、母親に会わせたくない、でも柴崎を見守らなければならない責任感から、早く柴崎に超人としての能力を発現して欲しい、そういう二人の思惑について書きました。


今回は、前回少しだけお話した2代目超人『ハジメ』についてです。


ハジメは柴崎と違って、生まれた当初から超人としての能力を発現させていました。痛み耐性、毒素分解能力、そして自己修復能力、どれも高いレベルでの再現性が認められていました。ただ、ハジメが発現させていた能力はそれだけではありません。これは当時の研究員達も気が付かなかったことなのですが、ハジメは自分の意志で細胞を移動させることができました。幼少の頃はそのコントロールが上手くいかず、左右で手足の長さが異なっていたり、体毛がなかったり、その外見は周囲の大人たちが近づくのを躊躇うほど奇怪なものでしたが、大人になった現在では、見た目だけではハジメと判断できないほど社会に溶け込んで生活しています。ハジメは成長するにつれて、細胞移動のコントロールが上手になっていたのです。


ハジメは自分が超人だということを知りません。しかし自分が周りとは違う存在だということは分かっています。彼の額には三つ目の眼球があるからです。そして自分には特別な力があることも理解しています。それは痛み耐性や毒素分解能力のことを指しているわけではありません。細胞を移動できる力や自己修復能力でもありません。それはテレポーテーション能力――俗にいう超能力です。



今週もどうぞ良い週末をお過ごしください。


※本作では、ハジメがエスジーの研究所を逃げ出した経緯についての描写を省いています。ハジメは10歳の時に研究所を抜け出し、その後、カミナリの『サム』となるのですが、その部分に関しては『冒疾の果て編』と『稠林の迷い子編』に詳しく書いてありますので、気になった方はぜひ読んでみてください。


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