皆さん、こんにちは。
先日、台風1号が日本に上陸しましたが、皆さんが住んでいる地域は大丈夫でしたか?
台風1号が日本に上陸するというニュースは今まで聞いたことがなかったので驚きましたが、そもそも1号の発生が5月にずれ込むことが稀だったようです。沖縄・奄美地方は梅雨入りしたようですし、これから徐々に九州、四国と梅雨期に入っていくかと思いますが、部屋の湿気対策、外出時の雨対策、忘れないようにしたいですね。
さて、今週の更新です。
皆さんは『ドッペルゲンガー』という言葉を聞いたことはありますか?
誰しも一度は聞いたことのある言葉だと思いますが、自分自身の姿を自分で見る現象のことを言います。見ると死ぬといった都市伝説を耳にした方もいるのではないでしょうか。
Wikipediaによると、この現象は「古くから神話・伝説・迷信などで語られ、肉体から霊魂が分離・実体化したもの」とされていたようで、18世紀末から流行したゴシック小説では、「自己の罪悪感の投影として描かれることもあった」そうです。
それくらい古くからあるこのドッペルゲンガー現象ですが、今は医学的に解明が進んでいて、現時点では「自己像幻視」と呼ばれる脳の機能障害だとされています。脳のある領域が何らかの要因でダメージを受けると、「自己の肉体の認識上の感覚を失い、あたかも肉体とは別の『もう一人の自分』が存在するかのように錯覚することがある(引用、同上)」とのことです。
この『もう一人の自分』、実は特異点シリーズの3作目『冒疾の果て編』にも登場しています。取締役会を追われ、研究エリアへの主要アクセス権を剥奪された藤崎が、話し相手を求めて、エスジー本社ビルの2階にあるダイニングホールへ向かったシーンです。藤崎はそこで自分にそっくりの老人を目にしています。藤崎はその時の様子を「まるで自分を撮影した映像でも見ているよう」と話しています。『もう一人の自分』は本シリーズの重要なキーワードの一つです。
さて、今回、サムは柴崎の顔が自分の顔に似ていたことに疑念を抱きます。サムの現在の顔は自分で変えたわけではなく、自然とそれに落ち着いた顔です。サムは自分の顔を自由に変化させることができますが、時間が経つと元に戻ってしまいます。振り子のおもりと同じです。最初は揺れていても、時間とともに揺れは収まり、一番安定する場所で止まってしまいます。サムにとって、そのおもりが止まる場所が、「柴崎の顔」ということです。
どうしてサムと柴崎の顔は似ているのか……。
もちろんそれには理由があります。が、それはまた今後のお楽しみに。
連載小説『特異点5(仮)』、第18回『ドッペルゲンガー』を公開しました。
今週もどうぞ良い週末をお過ごしください。
Photo by Copilot
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