皆さん、こんにちは。
雨の日が続いています。気温が下がってぐっと寒くなってきましたが、皆さん、お変わりありませんか?
先日、『なぜ日本人の母親の「子ども誘拐」が世界で大きな批判の的になっているのか(PRESIDENT ONLINE、佐々木田鶴)』という記事を読みました。
記事によると、日本人の親による「子どもの連れ去り」に対し、欧州議会が圧倒的賛成多数で是正を求めたようです。ここで言う「子どもの連れ去り」とは、別居や離婚の際に、母親が子どもを連れて出ていったり、実家に戻ったりするケースのことです。
現状、日本の民法では、夫婦が離婚した場合、片方の親だけが親権を持つ『単独親権』しか認められていません。これが今、世界で主流となりつつある『共同親権』に反するということなのでしょう。『国連が「子どもの権利条約」を発効したのが1990年。日本は94年にこれを、2014年には国境を越えた子どもの連れ去りを禁止する「ハーグ条約」を批准しています(記事より要約)』。
記事の中で筆者は、この問題の背景にあるのは、『旧態依然の日本の家制度』だと言っています。
『日本では、戸籍制度に象徴されるように、二人の個人が結婚すると、同じ姓のもとに「家」を作ります。そこに生まれた子どももまた、その「家」に帰属します。でももし二人が離婚すると、子どもはどちらか一方の「家」に属します。そして伝統的に母性が重視される日本では、子どもは母親とセットで女性側の「家」に戻るのが望ましいとされてきました。これとは対照的に欧州などでは、結婚とはあくまで個人と個人によるものであり、そこで生まれた子どもも独立した個人と捉えられます。子どもは両方の親と親しく交流しながら成長していく権利を持つとみられています(記事より要約)』。
筆者は言います。
『夫婦喧嘩も離婚も、国際法か国内法かも、連れ去りか誘拐かも、「大人の都合」に過ぎない。たとえ、妻にとっては許しがたい夫であっても、子どもにとっては、大好きなパパかもしれないし、将来は頼りの家族になってくれるかもしれない。両方の親が子育てに関わり続けることが、子どもの権利を守ることにもなるはずだ』。
国際結婚が増えている今、もし今後、日本が共同親権を導入することになれば、筆者が言うように『DVや虐待被害の検知、加害者の矯正・治療や被害者支援の体制の整備(記事より抜粋)』を充実させる必要があるでしょう。それに加え、私たち自身の「家」に対する考え方、家族のあり方、子育てのあり方を変える必要があるかもしれません。そしてこの問題は、国際結婚をして離婚や別居という選択をされた方々だけでなく、ひとり親の方々にも影響を与えます。
時代が変わり、価値観・優先順位が変わり、私たち自身も変わってきています。
ライフスタイル、社会が変わっていくのならば、それを支える法やシステムも変わっていくべきでしょう。
私たちにとって本当に大切なものは何か?
「家」なのか、個人なのか。
パートナーなのか、子どもなのか。
仕事なのか、家族なのか、お金なのか。あるいは別の何かなのか……。
以前、日本の子どもたちの精神的な幸福度が低い話をしましたが、今、私たちは、「本当に大切にしなければならないものは何なのか」を問われているのかもしれません。
さて、連載小説『特異点2(仮)』、第26回『予測は記憶』を公開しました。
今週もどうぞよい週末をお過ごしください。
Photo by Susan Cipriano
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