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執筆者の写真うだりお

『特異点2069~老人狩り編~』が発売されました!

更新日:2023年10月20日


皆さん、こんにちは!

季節も秋に差し掛かり、日が落ちるのも早くなってきましたが、いかがお過ごしですか?


今日は新刊のお知らせです。


昨年4月からWeb上で連載してきた小説『特異点(仮)』が、『特異点2069~老人狩り編~』として電子書籍にて以下のストアから発売されました!



ただ今、11月3日(火)まで99円のセール中ですので、この機会にぜひその手に取って読んでみてください!


さてここからは、皆さんに少しでも興味を持ってもらうために、本作の内容を少しばかりお話します。


本作は、今から50年後の未来が舞台です。

人口が8千万人を切り、国の借金が膨れ上がり、人々は同じ価値観を共有した幾つもの小さなグループに分断される、そういう社会が舞台です。


本作の主人公はシバザキノゾム、25歳。企業が遺伝子組み換え技術を使って産み出した企業産人間です。

本作は、生簀の中でじっと鰓呼吸を繰り返す奇妙なマグロの描写から始まりますが、企業産人間も同じです。特異な能力を持つがゆえに、周りから、特に自然交配で生まれた高齢者から奇異の目で見られています。


しかし企業産と言っても人間です。ロボットではありません。感情もあるし、意思もあります。だからシバは、自分たちを差別してくる人間に漠然とした不安を感じ、そんな自分たちを生み出した社会に憤りを募らせていきます。そしてそういった不安や怒りを、『老人を狩る』ことで発散していきます。


私が『老人狩り』という、とてもショッキングなテーマを選んだ理由は、私たちが今生きている現代にも、若者VS高齢者という世代間の対立があるように思ったからです。私は『老人狩り』がいいことだとは思っていません。作中に出てくる『老人狩り』は犯罪です。それでも、現代社会において高齢者は、虐待や詐欺といった、形は違えど『狩り』の対象であったりします。なぜでしょうか。


私はその答えを機能不全家族の中に求めました。社会を構成する最小の単位である家族、それが上手く機能していないのではないか、そう思ったからです。


私は、家族が上手く機能しない原因は社会にあると思っています。私たち自身の考え方、優先順位、ライフスタイル、それからメディアなど、私たちを取り巻く様々な環境が、家族の優先順位を下げ、機能不全に陥りやすくしているのではないかと思っています。その数が少ないうちは問題にはなりません。でもそれが私たち自身も気が付かないうちに社会に浸透していたとしたら、どうでしょう? 高齢者に対する虐待や詐欺は、何世代にもわたって家族の機能不全に目を向けてこなかった結果だと私は思うのです。


そこで本作では、家族が機能しなくなった社会を考えました。家族の概念が薄れる、家族を持つ選択をしない人々が増える、そもそも家族が何かを知らない人々が増える(企業産人間)、そういう社会――つまり――『機能不全国家』です。


『機能不全国家』では、国民同士の不和があり、他人といつも比べられ、国家の思い通りに国民がコントロールされます。他者への愛情はなく、同時に他者への期待が大きく、他人の目を気にしすぎる社会です。そしてそういう社会で育った国民は、自分に自信が持てなくなり、漠然とした不安とやり場のない孤独と、いつ爆発してもおかしくない怒りを抱えて生活していく……。シバの言葉を借りれば、『この世界は狂っている』と、そういうことになります。


仮想現実、複合現実グラス、人工筋肉、VRネット、ナノボット……。

本作には様々なテクノロジーが登場しますが、本作の主人公であるシバは、その狂った社会の中で老人を狩る選択をし、その結果、老人達から追われる身となっていきます。


老人達から追われながら、シバは自身の死生観を深めていきます。

人が死ぬとはどういうことか。

生きるとはどういうことなのか。

企業産の自分は、なぜ、この世界に生まれてきたのか……。


自身が奇妙なマグロであるからこそ辿り着いた、シバの生きる目的は何だったのか。興味がわいた方は、ぜひ試し読みをしてみてくださいね。


作品概要と試し読みはこちらからどうぞ。


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