皆さん、こんにちは。
からっと晴れた清々しい季節になってきましたが、皆さんはいかがお過ごしですか。
「日本の人々はいつも他人を気にしている」
これは、今年のノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎さんの言葉です。
真鍋さんはプリンストン大学の上席研究員です。現在は米国籍を取得してアメリカに住んでいます。その真鍋さんが、受賞会見で「なぜ国籍を変更したのか」を問われて出てきたのがこの言葉でした。
「お互いが良い関係を維持するために調和を重んじる。他人を気にして、他人を邪魔するようなことは一切やりません。私は周りと調和して生きることができない。それが日本に帰りたくない理由の一つです」
一つの研究を成し遂げるのに、まどろっこしい人間関係は不要だと、そういうことだと思います。アメリカに渡って自分の力を百パーセント発揮できる場所を見つけた行動力と確固たる信念があったからこその受賞ですね。すごいです。
調和も自発的なものであれば良いと思います。
相手を思いやって言葉を飲み込む。相手の立場を考えて行動を控える。自分よりも他人を優先する。そういう優しさはあってもいいかと思います。
でもそれが『圧力』になってしまうと、途端に息苦しくなってしまいます。
みんなやっているから。年下なんだから。他人だから。
そしてしばしば『圧力』は、多数派から少数派、立場の強い者から弱い者へと流れます。
皆で全体を良くしていきたいという気持ちは分かります。でも今は価値観が多様化した時代。押し付けるのは良くないと思います。だからそれぞれの気持ちを尊重し、それぞれが居心地の良い環境を作っていく。そういう場所や集団がこれからは重宝されていくのかなぁなんて思いました。だってそのTPOに調和するかどうかは、本来、その人自身が決めるべきものですから。合わなければ、場所を変えればいいんです。真鍋さんみたいにね。
さて、連載小説『特異点3』、第19回『違和感』を公開しました。
今週もどうぞ良い週末をお過ごしください。
Photo by Karen Nadine
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