皆さん、こんにちは。
6月からホームページで公開してきた『特異点3~冒疾の果て編~』ですが、いよいよ終わりが近づいてきました。
前回、藤崎は誰からも相手にされなくなりました。
そして自分が相手にされない理由を自分ではなく周りに転嫁しました。
なぜ私を認めない?
私がこれまでしてきた功績をなぜ素直に認めないのだ?
藤崎の中で無意識のうちに溜め込んでいた承認欲求が声となって表に出ました。
しかし藤崎は、心底から他人を見下した自己優越感や、それが表面に現れた横柄な態度が、自分を周りから切り離している原因だとは気付いていません。むしろ「誰も味方じゃないことが分かってせいせいした」と藤崎は言います。
意固地で頑固なお爺ちゃんです。
そこら辺の公園にいるようなお爺ちゃんなら可愛いんですけどね、スマートジェネティクスという大企業の、それも人口胎生で超人を産み出すプロジェクトを指揮する取締役です。そんな人がここまでこじらせてしまうと質が悪いです。
ところが藤崎の強がりもそこまででした。
ある日、自分が盗聴されていたことを知り、愕然とするのです。
藤崎は言います。
「悲しみとは失望だ。私を取り囲む状況に対する失望。そこから助けてくれない周りに対する失望。そしてそこから抜け出せない自分への失望」
「私には頼りにできる友も家族もいない……」
酒におぼれ、生きる気力を失い、ホテルの部屋に閉じこもる毎日。
そしてある日の午後、自身の取締役解任の知らせを聞きました。
今回、堕落したホテルでの生活の中で、藤崎は『神の時間』を体験します。そして自分に与えられた使命に気付きます。
自分に与えられた使命――すなわち、超人『マカ』をこの世に誕生させること。
さてマカプロジェクトから外された藤崎はどうしたのか?
どうぞお楽しみください!
連載小説『特異点3』、第28回『選ばれた人間』
Photo by floede
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